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東京地方裁判所 平成3年(ワ)6448号 判決

原告 株式会社かんそうしん

右代表者代表取締役 石田義雄

右訴訟代理人弁護士 三好徹

竹内義則

被告 森嶋彦次郎

主文

一  被告は、原告に対し、金一億五〇一一万一四五〇円及びこれに対する平成二年一二月二九日から支払済みまで年一八・二五パーセントの割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

理由

一  請求原因について

請求原因1の事実、同2の事実中忠和地所がいすず興産から鷹之台ゴルフ会員権を原告のローンを利用して購入した事実及び同3の事実中被告が原告との間で保証契約を締結した事実については当事者間に争いがない。

証人内野三郎の証言及びこれによって真正に成立したものと認められる≪証拠省略≫並びに弁論の全趣旨を総合すれば、その余の請求原因事実を認めることができる。

二  被告の主張1(一部弁済)について

平成二年一二月分の分割金を、被告ないし忠和地所らが原告に支払ったことを認めるに足る証拠はない。

三  被告の主張2(利息制限法の適用の有無)について

1  被告は、本件契約は金銭を目的とする消費貸借契約であるから、利息制限法の適用を受ける旨主張するので、これについて検討する。

なるほど、本件契約をゴルフ会員権購入者から見れば、経済的には購入代金の融資を受けるという金融の手段としての面を有することは否定できない。

しかし、前記各証拠によれば、本件契約は、立替払業者(以下「業者」という)と提携したゴルフ会員権販売店からゴルフ会員権を購入する際に、立替払を希望した購入予定者のうち業者が信用調査をして承認した購入予定者について、そのゴルフ会員権購入代金を業者が一括して販売店に支払い、その後購入者が業者に右購入代金相当額に手数料を加算した額を割賦で支払うことを内容とする、販売店と業者との加盟店契約、販売店と購入者との売買契約及び業者と購入者との立替払委託契約からなるものである。

したがって、本件契約における分割手数料は、立替金に対する金利のみならず、立替払委託に対する報酬、信用調査等事務処理に伴う費用等を含むものであり、本件契約を単なる金銭を目的とする消費貸借と認めることは相当でないから、利息制限法は適用されないと解するのが相当である。

よって、本件契約について利息制限法が適用されることを前提とする被告の主張は採用できない。

2  なお、被告は、本件ゴルフ会員権に原告は譲渡担保権を設定しているので、まずこれを実行すべきであるとも述べるけれども、担保権者は、被担保債権の履行請求に先立って担保権を実行する義務を負うものではないから、被告の右主張は失当である。

四  以上によれば、原告の本訴請求は理由があるのでこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を、仮執行宣言について同法第一九六条一項をそれぞれ適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 浜秀樹)

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